2017年06月 ASL "Urban Guerillas[J1]"対戦記録

1 シナリオの概要
2 シナリオの分析と方針
3 対戦の経過
4 対戦を終えて
1 シナリオの概要
(1)全般
 1945年4月のウィーンが舞台のシナリオである。

 運河のある地図盤を守るドイツ軍を、ソ連軍が南側から攻撃する。

 勝利条件に関わる建物が、運河の南側に1個(これは聖堂であり、ルール上は工場として扱われる)、北側に2個、合計3個ある。この3個うち2個をソ連軍が支配すれば、ソ連軍の勝ちとなる。

(2)攻撃側ソ連軍について
 攻撃側のソ連軍は、地図盤の南側に配置する。その初期兵力は、13個分隊相当のエリート兵とT-34-85戦車x3両である。指揮官も3人いて、うち1人は高い指揮修整を持つ9-2指揮官である。支援火器も豊富で、重機関銃・火炎放射器・爆薬があった。このシナリオに登場するT-34-85戦車は、通常と違いシナリオ特別ルールにより、無制限に煙幕展帳機を使用できる(この戦車は通常、1シナリオ中に1回しか煙幕展帳機を使用できない)。
 さらに、3ターン目に増援が登場する。指揮官1人に率いられた自動銃兵(6-2-8)5個分隊と、IS-2m重戦車x2両である。運河の南側の盤端の一辺から進入する。
 この他にソ連軍は、ウィーン市民の支援を受けられる可能性がある。通常の狙撃drの結果が3か4であったとき、パルチザンの指揮官・ヒーロー・半個分隊のいずれかがあらわれる。このパルチザンは、ドイツ軍と同様にパンツァーファウストを撃てる。ウィーン市民の支援を反映してか、攻撃側であるのにソ連軍のSAN(狙撃兵活動値)は6と高い。

(3)防御側ドイツ軍について
 運河の南側に配置するドイツ軍はSS分隊x10個、パンター戦車x1両、IV号戦車J型x1両、装甲ハーフトラックx1両である。
 上述の他に、88ミリ高射砲x1門がある。この砲は、北側地図盤に、運河の南北を問わず、配置できる。ただし、サイズが大型の砲なので建物内に配置できず、初期隠匿配置(HIP)を利用して置けるヘクスは限られている。

(4)担当
 わたしが、攻撃側のソ連軍を担当した(以後、ソ連軍プレイヤーと呼称する)。

2 シナリオの分析と方針
(1)分析
 守るドイツ軍、攻めるソ連軍ともにエリート(士気は8)同士の戦いで、兵や車両の質に大きな差はないとソ連軍プレイヤーは考えていた。

 ソ連軍が有利な点は、その数とパルチザンの支援である。歩兵・車両ともに、ソ連軍はドイツ軍のほぼ倍であった。さらに、パルチザンは、ドイツ軍の退路を断つ場所にあらわれる可能性がある。ドイツ軍が運河の南側を固守している時に北側にパルチザンが登場すると、それだけで勝敗を覆しかねない。

 ドイツ軍が有利なのは、勝利条件である。ソ連軍が勝つためには、運河の南側だけでは足りず、北側に渡らなければならない。運河を渡れる橋は2カ所しかなく、橋の両側は開豁地である道路である。この危険な地形を、ソ連軍の兵士たちは通らなければならない。

(2)方針と配置
 ドイツ軍の配置は、たいへん合理的なものであった。右翼(ソ連軍から見て左側)が多少薄いが、運河南岸の勝利条件建物を厚く守り、その左右に翼を展開している。火線の利用も、当然、考慮に入れられている。
 パンター戦車は、T-34-85戦車と初手から撃ち合うのを避けて、後方のLOS(Line Of sight;視線)が通らないところに潜んでいた。これは、T-34-85戦車が3両で最初の準備射撃(PFPh)に硬芯徹甲弾の利用を試みてパンター戦車を撃つと、悪くない確率で破壊を狙えるからであった。
 スタック(おそらく2個分隊と指揮官)が、橋を渡るつもりで建物の後ろに控えていた。北側の勝利条件建物を守りに分遣するつもりであろう。


・図1 初期配置後、両軍隠蔽を獲得した状態。茶色の駒がソ連軍、黒い駒がドイツ軍SS部隊である。

 しかし、ソ連軍プレイヤーは、ドイツ軍の配置の一つの穴に気づいた。このシナリオには、第1ターンにソ連軍歩兵が到達可能な橋を見える位置が2区域ほどある。そのうちの1区域、2階(高度レベル1)から西側の橋を撃てる建物に、ドイツ軍は兵を置いていないのだ(図1-①のヘクスのレベル1)。軽機関銃を持ったソ連軍歩兵が、うまく臨機射撃を切り抜ければ到達できるかもしれない。北側に敵がいなければ、終盤の戦いはとても楽になる。ソ連軍プレイヤーはそう考え、その区域を確保してドイツ軍の分遣を妨げるのを狙い、第1ターンの方針を決めた。
 そのため、T-34-85戦車や重機関銃と9-2指揮官のスタックは準備射撃(PFPh)を撃ち、臨機射撃を撃てるドイツ軍ユニットの制圧を試みることとした(図1-②、戦車の下に重機関銃のスタックがいる)。

 ソ連軍プレイヤーは、この建物への経路とほぼ同じ経路を使って、主力を、運河南側の勝利条件建物へ進める(図1-③)。

 東側の橋は、ここを撃てる建物に2個分隊を置き、火制することとした。この方面には指揮官を置かないので、前進は慎重におこなうのにとどめる。混乱した場合回復の手段に乏しいためである(図1-④)。

3 対戦の経過
(1)第1~第2ターン
 ソ連軍戦車の準備射撃(PFPh)からゲームが始まった。1両のT-34戦車の射撃で、ドイツ軍のハーフトラックが炎上する。もう1両は、石壁からソ連軍の接近経路を火線で狙っているドイツ軍の中機関銃スタックを狙った。この射撃は効果がなかった。次にソ連軍の重機関銃と9-2指揮官のスタックが準備射撃をおこない、このドイツ兵たちを混乱させた(図1-②のとおり)。
 戦車が射撃したことに、ドイツ軍プレイヤーは驚いた様子であった。射撃すると移動できず、その機動力を発揮できないためである。ソ連軍プレイヤーは、橋を狙える場所へ歩兵を送り込むために、機動力より火力の発揮を優先させたのである。
 ソ連軍プレイヤーは、もう1両のT-34-85戦車を、ハーフトラックを撃つ予備として配置していた。第一の戦車が目標を破壊したため、この予備の戦車は次の目的のため行動する。煙幕の展帳である。

 中機関銃1挺を失ったドイツ軍の臨機射撃は振るわなかった。
 ソ連軍歩兵は、軽機関銃の火線を避けつつ前進し、聖堂正面と、西側の橋を撃てる建物2階とにとりついた。
 T-34-85戦車の煙幕は失敗した。

 第1ターンのドイツ軍プレイヤーターンで、ドイツ軍は橋を火制されているのに気づいた(ここで、このシナリオの定石を思い出したようである)。第1ターンのドイツ軍の移動は、歩兵を安全に渡すために費やされた。まずは、SS歩兵分隊が歩兵煙幕手榴弾を試みるも続けて失敗。次にIV号戦車が煙幕展帳機の使用を試みて失敗。このIV号戦車は、煙幕を出せなかった後、元の聖堂前面に戻った。
 ドイツ軍プレイヤーは、次にパンター戦車を使って同様の煙幕展帳を試みようとして、思いとどまった。その変わりに、パンター戦車は聖堂前面に移動し、守備についた。これは、聖堂前面の石壁のラインを守るユニット数が足りず、その不足を補うためにパンター戦車を用いたためである。

 ドイツ軍プレイヤーが、覚悟を決めて部隊に橋を渡らせる。ソ連軍の2個分隊と軽機関銃が放った5火力-1の射撃は、大きな効果がなかった。士気チェックの結果はあったが、混乱したのは指揮官のみだった。ドイツ軍分隊に至っては、1ゾロを振って戦渦となり、ヒーローを登場させた。歩兵達は無事に橋を渡った。指揮官も、潰走で橋を渡って次のターンには無事に回復していた。
 両軍プレイヤーで大騒ぎしていた割には、たいしたことのない結果だった。

 第2ターンのソ連軍プレイヤーターンは、小康状態であった。
 ドイツ軍が聖堂の守りに戦車2両を投入したため、戦車の前進が遅れていたソ連軍は有効な攻撃手段を見いだせなかった。よって、ソ連軍は、次ターンの増援到着と同時に攻勢を取ることとし、このターンを乱れた陣形の再編成にあてた。T-34-85戦車も、正面からの前進のみでは難しいと考え、1両を東側に大きく迂回させた。
 1ターン無事に進めたコストとして、このターンという時間を支払ったのだ。

 ソ連軍が不活性なため、ドイツ軍も地味に再編成してこのゲームターンは終わった。

(2)第3~第4ターン

 ソ連軍は増援部隊を、西側から登場させた。
 まずは主砲の故障したT-34-85戦車を、石壁に張り付いているドイツ兵に突入させる。このSS分隊はパンツァーシュレッケ(歩兵携帯用対戦車ロケット砲)を持っており、これを撃ってT-34-85戦車を撃破した。対戦車手段が一つ減ったところで、残り4両のソ連軍戦車が一気に寄せる。移動中射撃もおこないドイツ軍戦車の撃破を狙ったが、すべて外れた。ソ連軍歩兵も、石壁にとりついた。
 戦車以外に有効な対戦車手段がないため、ソ連軍は2ヘクス離れたところから火炎放射器でパンター戦車を狙った。4以下で撃破のところ、出目は5で効果がなかった。

・図2 3ターンのソ連軍移動フェイズ終了時。


・図3 3ターンのソ連軍のプレイヤーターン終了時。

 ドイツ軍の防御射撃(DFPh)では、北東の林に隠れていた88ミリ高射砲が姿をあらわした。これが東側に迂回していたT-34-85戦車を側面から射撃して、破壊する。ソ連軍プレイヤーは、88ミリ砲がもう1ヘクス奥の林に隠匿配置されていると予想していた(理由は、自分だったらそちらに置くからである)。その予想区域からだと、T-34-85戦車は石壁の遮蔽を得られる位置であった。実際の配置では車体遮蔽はなく、みすみす撃破されてしまう(図3-①)。
 パンター戦車に隣接したもう1両のT-34-85戦車も、パンターの主砲で破壊されてしまう。しこしここでは操作班が脱出に成功し、歩兵分隊とともにパンター戦車に白兵戦を挑んだ。操作班は近接防御兵器を喰らって混乱するものの、分隊は耐えた。ただし、撃破にはいたらない(図3-②)。

 この3ターンの間に、パルチザンが2ユニット(半個分隊x1、ヒーローx1)登場した。ちょうど聖堂の裏手の、ドイツ軍の潰走を妨げる場所であった。これは、ドイツ軍が後退して戦い続けるのを大きく妨げた(図3-③)。

 3ターンのドイツ軍プレイヤーターン。白兵戦で撃破されるのを恐れたパンター戦車は、指導して東へと去って行く。混乱していなかったソ連軍分隊がCC対応射撃をしかけるが、始動した車両には+2の修整があり、効果はなかった。
 ドイツ軍のIV号戦車は、今の位置にとどまるのにも退くのにもリスクがあるためか、逆転の手に出た。近接防御兵器で煙幕を展帳しながらBogチェックをパスして聖堂を抜け(工場扱いなので、地下室に落ちるリスクはない)、速度超過の試みもパスしてIS-2m重戦車の側面に出て、撃破を狙ったのだ。しかし、側面を取るために迂回移動した区域に混乱したソ連軍分隊がいたため、このIV号戦車は他の区域を撃つことができなかった。このIV号戦車は、IS-2m重戦車により次のターンに撃破された。

 聖堂のドイツ兵は退路を断たれたためか、ソ連軍と撃ち合った。しかし、ソ連軍はエリート兵なので効果はあまりなかった。むしろ、ソ連軍は前線に歩兵が揃っており、火力の高い自動銃兵もいたため、多くのドイツ兵を混乱させた。

・図4 ゲーム終了時。

 4ターンにかけて射撃戦で、潰走路を断たれていた聖堂のドイツ兵は、1個分隊を除いて除去されてしまう(図4-①。左側の黒い駒は、ソ連軍に鹵獲された支援火器)。さらに、ドイツ軍の高射砲も、射撃の際に6ゾロを振って故障していた(図4-②)。

 運河の橋の入り口にまで進んで車体で遮蔽を作りつつドイツ兵を撃つIS-2m重戦車に対して、ドイツ兵は運河越しにパンツァーファウストを放とうとした。しかしこれも使用判定で6を振り釘付いてしまう(図4-③)。6や6ゾロを連発していた(ドイツ軍のパンツァーファウスト使用の試みは、すべて6であった)ドイツ軍プレイヤーはここで投了し、ソ連軍の勝利となった。

4 対戦を終えて

 最終的にソ連軍には、IS-2m重戦車が2両と10個分隊強の歩兵が残っていた。ドイツ軍の残存戦力は、運河北岸に2個分隊、南岸に3.5個分隊とパンター戦車であった。当初の2:1の戦力比を維持したまま、両軍がすり減っていったのがわかる。

 この先の展開は、ソ連軍が橋を渡れるか否かしだいであった。ソ連軍プレイヤーは、残り時間(3ターン)とソ連軍の歩兵火力(重機関銃に加え、鹵獲した中機関銃もあり)から考えるに、勝利の見込みは十分と考えた。
 ただし、ドイツ軍に残ったパンター戦車(優秀な戦車指揮官が乗っている)の活躍によっては、戦況は変わりうる。IS-2m重戦車が2両とも破壊された場合、貧弱な対戦車手段しかないソ連軍は辛くなる。戦車指揮官の修整は同時射撃の判定にも有効であるため、側面や背面に回り込まれて破壊される可能性は十二分にあった。

 攻撃側として失敗したと思った点が3点ある。
 1つは、東の橋を抑えるのに2個分隊を投入した点である。ドイツ軍の車載煙幕展帳機を考慮すると、完全に橋を火制することは不可能なので、1個分隊で十分だった。残りの1個分隊は、地図盤東端を大きく迂回させて、ドイツ軍左翼に圧力を加えるのに使うのが良かった。
 2点目は、第1ターンの戦車の動きである。移動させなかったため、2ターン目に遊兵となってしまった。ハーフトラックを撃った戦車は移動するべきであった。隣接して移動中射撃やVBMフリーズでハーフトラックの無力化を狙い、次のターンの前進に備えるべきであった。
 3点目は、全体として狭い範囲に部隊を集中させすぎた点である。聖堂の早期確保を狙ってそうしたのだが、機動力のある防御側戦車がその狭い範囲に集まってきて堅く守ったため、行き詰まってしまった。ドイツ軍右翼側にも部隊を進めて、敵の歩兵を取り除き聖堂への側面からのアプローチを試みるべきであった。

5 ルールについて

 今回の対戦では、ドイツ軍とバルチザンにヒーローがあらわれた。ヒーローのルールについて、備忘のために補足する。

(1)ヒーローDRMと射程距離について
 ヒーローDRMは、通常の射程内のみ有効である。A15.24にこうある、「ヒーローの固有火力、あるいはSWのどちらかが通常射程内で射撃していることを条件に」と。
 今回の対戦では、運河北側のヒーローが分隊と火力グループを作って遠距離射程でソ連軍を撃ったが、ヒーローDRMは適用されなかった。

(2)ヒーローは「静粛」について
 ヒーローは静粛である。同じくA15.24にこうある、「ヒーローは常に静粛であると見なされ、」と。

以上

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