【再掲】2013年12月 ASL "Desobry Defiant[AP61]" 対戦記録

※ この記事は旧ブログの記事をリライトし再掲したものです。

1 シナリオの概要
2 シナリオの分析と方針
3 対戦の経過
4 対戦を終えて
5 ルールについて

 2013年12月に、横浜を中心に活動されているゲームサークル、YSGA様にお邪魔して、ASLを対戦しました。

・Desobry Defiant[AP61]


Desobry Defiant[AP61]

 12月はバルジの戦いのゲームをプレイするバルジ例会とのことだったので、このシナリオを選びました。

シナリオの概要

 ASLのシナリオパック"Action Pack #6 A Decade of War"掲載のシナリオです。
 1944年12月19日、バストーニュ北方のノヴィルの村で、ドイツ軍第2装甲師団の先鋒が米軍の守備隊と接触します。

 守る米軍は、歩兵11個分隊、AFV(装甲戦闘車両)が5両、対戦車砲が1門です。さらに、2両の駆逐戦車が増援で登場します。支援火器も豊富で、8火力・ROF(Rate Of Fire;複数回射撃の可能性)3を誇る50口径重機関銃や、80ミリ砲の盤外砲撃を呼べる無線機がありました。AFVも2両を隠匿配置できて、待ち構える体制です。

 攻めるドイツ軍は、歩兵18個分隊、AFVが18両と、圧倒的な戦力です。AFVのうち、6両は兵員輸送様の装甲ハーフトラックですが、IV号戦車x4、V号パンター戦車x3、150ミリ自走砲x1など、内容も充実しています。
 盤外観測員に誘導される100ミリ砲の盤外砲撃もありました。

 勝利条件は、ドイツ軍が2つの条件を満たすことです。1つは村の制圧。村の中心から5ヘクス以内に米軍の統制状態の操作班ではない複数兵がいないようにする必要があります。もう1つは突破。操作班でない複数兵を8点分含んだ、35点分の戦力を南方に突破させる必要があります。
 制圧と突破の両立が難しそうと感じました。

 ルールブックE章の気象条件から、泥濘と霞が影響します。
 泥濘によって、道路とそれに隣接する区域(後者はシナリオ特別ルール)以外では、移動力が余計にかかったり、車両がはまりこんで動けなくなる可能性があります。
 霞は、遠距離での射撃にペナルティがあります。

 わたしが、守る米軍を担当しました。

シナリオの分析と方針

 泥濘のため、路外での機動にペナルティがあります。地図盤の南へとまっすぐ通じている道路は西にしかないため、相手はこちらを主攻にすると予想しました。
 そこで、2つある道路障害を、2つとも西側に配置します。1つしか置かなければ、ドイツ軍は林に轍を残して迂回してくるかもしれません。2つあれば、迂回したとしても時間を要します。ドイツ軍プレイヤーは、1つ目を見つけた時点で「2つはない」と誤断し、時間配分を誤るかもしれません。

 アメリカ軍プレイヤーは、今回、ちょっとトリッキーなことも考えます。隠匿配置できる2両のAFVを、西側の前線に置くのです。一般的に、隠匿配置は後方に置くことが多いです。隠匿配置には、存在を明らかにしないことによって相手に警戒感を与え、歩みを遅らせる効果があります。この効果が長続きするよう、置き場所には、長時間居場所を悟られない後方を選びがちです。
 その逆を突いてみました。1つめの道路障害に隣接すると、2つめの道路障害が見えます。2つもあるなら急がなくてはと、迂回のために向きを変えた側面を狙える場所にしたのです。奇襲効果があると思いました。

 東側をまったく手当てしないわけにはいきません。こちらは対戦車砲と、盤外砲撃の計画砲撃事前指定ヘクスで防ぎます。計画砲撃は、観測弾の手順を省いてすぐに効力射を呼べるため、撃たれる側には逃れる時間がありません。攪乱砲撃も用いて、敵の破砕よりも、時間を費やさせることを目的にします。
 観測員は、戦場を広く見渡せる尖塔に置きました。シナリオ特別ルール(SSR)で、尖塔が一段高くなっているのです。以前YSGAで、SSRやオーバーレイで地形の変更があったときはその場所がシナリオの展開を左右することが多い、と伺いました。この話を参考に考えました。

対戦の経過

 相手の配置を見て、驚きました。道路が盤外に延びていない、東側を主力としていたからです。しかし、兵力をシフトする余裕はあります。盤外砲撃と対戦車砲が、それに必要な時間を稼いでくれるはずです。

 黄緑色の駒が米軍、水色の駒がドイツ軍です。画像の上が北、右が東です。
↑ 初期配置の様子。北東のドイツ軍車両が1ヘクスおきに置かれているのは、盤外砲撃で3輛以上が同時に損害を受けないためです。

 相手は、準備射撃フェイズ(PFPh)で、数ある戦闘車両から次々と煙幕弾を撃ち込んできました。そのうえで、歩兵が前進してきます。ドイツ軍の盤外観測員は、無線接触をしません。自分のPFPhに無線接触するとそのターンに届くのは観測弾で、効力射の前に相手の移動フェイズ(MPh)があり逃れられてしまうと判断したのでしょう。
 興味深かったのは、尖塔区域に対して75ミリ榴弾砲ハーフトラックや、150ミリ自走砲が地域目標射撃を撃ってきたことです。ドイツ軍プレイヤーは、隠匿配置できるアメリカ軍の観測員が、ここにいると確信を持っているようでした。あたりです。

 煙幕でアメリカ兵の視線を遮った上でのドイツ軍の移動は、すこし不注意でした。西方では、指揮官と分隊のスタックが米軍歩兵分隊の前を遮蔽もなく歩いてしまいます。これは、臨機射撃で撃って混乱させました。
 独軍主力の東方も、こちらの計画照準区域周辺に部隊が蝟集してきます。チャンスです!
 しかし引いた盤外砲撃カードは赤。絶好のタイミングでしたが、砲撃権は獲得できません。

 この対戦では、両軍盤外砲撃が不調でした。どちらも、連続して赤を2枚引き、一度も着弾することなく終わりました。
 尖塔の上に隠匿した僕の指揮官も、無線機を捨てて階段を下り始めます。ドイツ軍プレイヤーも、2門の砲の射撃があたる前に盤外砲撃が無力化されて、さらに予想通りのところに無線機があって、苦笑していました。

 西方では、M4シャーマン戦車が隠匿配置されている林の前面に、パンター戦車x1、IV号戦車x1、III号突撃砲x1が止まります。ドイツ軍西側の装甲戦力のほぼすべてでした。アメリカ軍プレイヤーは、やり過ごしたいと思っていました。射撃の機会ですが、米軍のシャーマン戦車も、姿を顕したら生き延びられないからです。しかし、歩兵も近づいてきたため、露見せずにやり過ごすことはできないと考え、姿をあらわして撃ち始めます。IV号戦車を破壊したものの、硬芯徹甲弾がなくパンター戦車には効き目なし。それでも、意図的走行不能の試みでパンター戦車の履帯を破壊し走行不能とします。III号突撃砲の反撃でシャーマン戦車は破壊されましたが、敵2輛を無力化したので十分仕事はしました。
 III号突撃砲は、正面からの突入は不可と思ったのか、迂回して林に入ったところでボグってしまいます。この車両は、立ち往生しているのを相手プレイヤーが失念して、戦闘に参加できませんでした。
 移動不能となったパンター戦車は、その位置から主砲を撃っていましたが、6ゾロを振って主砲故障。修理も失敗して、無力化されます。
 独軍のハーフトラックが村になんとか入ろうとしますが、待ち構えていた米兵のバズーカ班が命中弾をあたえて破壊します。
 西方のドイツ兵に対しても、隠匿を脱ぎ捨てた米軍の装甲車が、機関銃や37ミリ砲を撃って大きな損害を与えます。この装甲車は、石壁を盾にしながら煙幕手榴弾を使って離脱しようとしましたが、さすがにこれはうまくいきません。ドイツ軍のIV号戦車に撃たれて、撃破されます。

↑ 2ターン目の西側の拡大図。ドイツ軍の車両を、ほぼ無力化できました。ドイツ兵の一部は、村へ進入しつつありますが、近接経路が限られています。

 アメリカ軍プレイヤーは、西側の敵の圧力がかなり減じられたので、部隊の一部を東側にシフトさせます。
 ドイツ軍も、数を活かして村へと突入してきます。そこで右翼の繁みに隠匿していた対戦車砲が射撃を開始。パンター戦車1両の背面に命中させて破壊したほか、IV号戦車も1両撃破します。ドイツ軍は、歩兵をこの対戦車砲に投入して無力化します。この対戦車砲は、泥濘の中、歩兵を吸引するのも含めて、十分働いてくれました。

 ドイツ軍は、村への攻撃を続ける部隊と、突破をめざす部隊とに、兵力を分けていました。アメリカ軍プレイヤーは、突破を阻止するのは不可能と考え、村の防備に全力を挙げます。増援の駆逐戦車2両も、尖塔のある建物の後方に控えさせます。敵のAFVが回り込んできて、潰走路を遮断するのを防ぐのです。

 ドイツ軍の突破隊は、ボグ判定をなんなくパスして、勝つのに必要なだけの部隊が突破していきます。1つ目の勝利条件は達成したので、勝敗を決するのは村の中心の攻防となりました。
 ここでドイツ軍は攻めあぐねました。米軍の、8火力・ROF3の50口径重機関銃が活躍して、ドイツ兵を良い射点につけさせません。混乱した米兵も、潰走路を遮断されていないので、指揮官のいる建物上階に逃げ込めます。回復しやすい米軍の特徴を活かして、短時間で戦線に復帰してきます。すると、高い火力が活きます。ドイツ兵はなかなか近づけません。

↑ 4ターン目のドイツ軍移動フェイズ(MPh)終了時。残留火力マーカーやFirstFireマーカーが置かれています。米軍が、激しい射撃でドイツ兵の攻撃を防いでいます。

 最後のターンに、ドイツ兵はなんとか尖塔の階下とその前の建物の階下に入り込みます。それでも、あと一歩が進めず、白兵戦には持ち込めません。この2カ所への射撃が効いて、米軍の複数兵が混乱すればドイツ軍の勝ちです。しかし、ドイツ兵は、米軍の重機関銃のせいで良い射撃位置につけません。ドイツ軍戦車は、駆逐戦車を撃破してなんとか行動の自由を得ています。しかし、周囲では炎上する残骸が散らばり、あちこちに煙が立ち上り、LOS(Lien Of Sight;視線)を妨害しています。そのため、有効な射撃ができません。
 ドイツ軍の最後の射撃はほとんとが外れて、米兵が生き残ります。

↑ 終了時の盤面。尖塔のある建物と、その前の建物に部隊が積み上がって見にくくなっているので、別の場所に置いています。

 こうして、アメリカ軍の勝利となりました。

対戦を終えて

 両軍のジレンマのある良いシナリオでした。バランスも良好で、規模も適当です。陣営を変えて是非挑戦しようということになり、翌週の千葉会で再戦しました。

ルールについて

 このシナリオには謎が一つあります。米軍の盤外砲撃が、「80ミリ」とされているのですが、迫撃砲ではないのです(迫撃砲の盤外砲撃は、無線接触の維持に有利な修整があるので、区別できるように記載されています)。米軍の砲で、口径80ミリ、間接砲撃ができるけれども迫撃砲ではないもの、って一体何なのでしょうか? H章のDYOチャートの米軍OBA表を見ても、80ミリはみな迫撃砲です。パック・ハウザーは75ミリだし……。
 史料を漁って、「イギリス軍の18ポンドor25ポンド砲を持った米軍砲兵隊がいた!」みたいなものが出てきたりしたら楽しいですね。実態は、多分バランス調整か何かのために迫撃砲のボーナスをなくしただけなのでしょうが。
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