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【再掲】2014年5月 ASL "The Abbeville Bridgehead[BoF3]" 対戦記録

※ この記事は旧ブログの記事をリライトし再掲したものです。

1 シナリオの概要
2 シナリオの分析と方針
3 対戦の経過
4 対戦を終えて
5 参考資料
 2014年5月の千葉会様にお邪魔して、ASLを対戦しました。

The Abbeville Bridgehead[BoF3]

1 シナリオの概要
(1)全般
 ドイツ軍の守る村をフランス軍が攻撃するシナリオです。
 勝利条件は、指定の建物3つのうち、2つをフランス軍が支配すれば勝ちというものでした。ドイツ軍の目的は、この阻止です。
 オーバーレイを複数使います。シナリオの時期は5月で、麦畑は未だ育っていないはずですが、茂っているとシナリオ特別ルールで指定されています。
 シナリオの長さは7ターンです。

(2)攻撃側フランス軍について
 歩兵は、一線級が12個分隊に、指揮官が2人(9-2と8-0)です。分隊数に対して、指揮官が少なく感じます。指揮官なしで歩兵を運用するのは回復に対してリスクがあるため、近接経路を3本(つまり指揮官の人数)以上は作りづらいと感じました。
 さらに、フランス軍の複数兵ユニットは混乱時に士気が1下がります。指揮官も少ないので、回復に時間がかかりそうです。混乱しないよう、慎重な用兵が望まれます。
 支援火器は、中機関銃x1、軽機関銃x2、軽迫撃砲x1でした。
 歩兵以外の戦力として、B1-Bis戦車とR-35戦車が2両ずつあります。後述しますが、ドイツ軍の対戦車兵器は非力なため、これらは大きなアドバンテージです。どちらの車両も無線機を搭載していない扱いのため小隊移動を強いられますが、単独行動の試みは通常の8以下でなく9以下で可能です(モールス信号機搭載のため)。
 B1-Bis戦車の75ミリ砲(車体装備)が、大戦初期としては大きな威力です。

(3)防御側ドイツ軍について
 8.5個分隊に指揮官が3人と、この規模のシナリオとしては一般的な防御側の兵力と思います。支援火器は、さすがに重機関銃はありませんが、中機関銃x1、軽機関銃x2、軽迫撃砲x1がありました。
 他に砲が3門あります。37ミリ対戦車砲x2と、20ミリ対空砲x1です。

(4)担当
 僕が防御側のドイツ軍を担当しました。

2 シナリオの分析と方針
(1)分析
 戦車と砲のあるシナリオでまずやらなくてはならないのが、貫通力と装甲の比較です。
 このシナリオでは、ドイツ軍の対戦車火器の貫通力不足が目立ちます。
 37ミリ対戦車砲の基本破壊ナンバーは9、20ミリ対空砲は6です。対するフランス軍戦車の装甲値は、R-35戦車は4~6、B-1bis戦車は6~8です。正面からの破壊は難しく思いますが、独軍の砲はROF(Rate Of Fire;複数回射撃の可能性)が3と高いのです。低い貫通力を、射撃回数の多さで補えるかもしれません。それでも、正面でなく側面・背面を狙う、近くから狙う、意図的走行不能の試みを狙う、等の戦術を使う必要があるでしょう。

 幸い、フランス軍戦車は機動力に劣ります。長駆して後方に回り込まれる心配は少なそうです。

 フランス軍の火器で、警戒を要するのが60ミリ軽迫撃砲でした。最大42ヘクスという長射程で、林に対しては空中炸裂で威力が増します。ROFも3と高いです。この支援火器があるところでは、兵を安易に林に置けません。
 ドイツの軽迫撃砲は 口径50ミリとワンサイズ小さく、火力もその分低いです。射程も13ヘクスと、ちょっと短く頼りなげです。それなのに、重さはフランス軍のそれと同じ5PPです。

 軽迫撃砲では負けますが、分隊の射程も機関銃の射程も、ドイツ軍が勝っています。防御側なので、LOS(Line Of Sight;視線)がうまく通るところに兵を置けば、フランス兵をアウトレンジできるでしょう。相手プレイヤーも、そうさせないために軽迫撃砲や戦車を上手く使ってくるでしょうが。

(2)方針と配置
 今回の配置で重視したのは、「連携」です。
 最近2度連続で防御側をもって負けています。原因を考えていた際に、偶然二つの本を目にしました。一ノ瀬俊也『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』(講談社現代新書)と、"Stalingrad and the Evolution of Soviet Urban Warfare"(The Journal of Slavic Military Studies Volume 22, Issue 2, 2009 )です。前者は「防御線としての連続性の維持」(P223)、後者は"linkages and connections"という言葉で、相互に守りあうことの重要性を説いています。ASLでも、主に連続臨機射撃のメカニズムにより、自身に接近する敵に臨機射撃するより、離れた味方に接近する敵を臨機射撃した方が、目標選択の自由を維持できます。前の2回の対戦では、この連携を欠いていたように感じました。

 勝利条件で指定された3つの建物は、南側の(A)、北側の(B)、そして中央の教会(C)です。相手が勝つには、この3つのうちの2つを支配する必要があります。同時に3ヶ所攻撃することはできません。ターン数もあるので、まず1ヶ所を落として、次に2ヶ所目を攻めてくるでしょう。
 その場合のフランス軍の接近経路は、3つ考えられます。
 1つは、北側を通るもの。これは、実際には考えづらいです。広い麦畑はシーズン中のため、歩兵は1ヘクスにつき1.5移動力が必要で接近に時間がかかります。麦畑には視線を妨害する効果がありますが、同一高度レベルのLOSのみです。たとえば、ドイツ兵が建物(B)の2階(高度レベル1)に置いたら、妨害はなく普通に見えてしまいます。回復地形も遠く、一度混乱したら長い距離を潰走して戻らなければなりません。以上の理由から、近接経路として選ぶのは非現実的です。万が一相手が不意打ちでこちらを狙っても、兵をシフトする時間は充分あります。
 次は中央を通るもの。大きな森があって進み易いのですが、建物(A)や(B)を狙うには最短距離ではないです。主攻にはしづらいと考えました。
 そして南側を通るもの。林や果樹園、麦畑を伝って移動ができ、最短距離で建物(A)を狙えます。相手がここを主攻とする可能性が高いと、わたしは考えました。つまり、主力を最短距離で建物(A)にあててこれをまず支配し、次は(B)ないし(C)のいずれかを狙うというコースです。
 建物(A)に部隊を配置して近接経路を火制しようとすると、多くの兵が必要です。たくさんの兵を置いて、退路を断たたれて殲滅されたら、勝敗が決しかねません。また、部隊の過半をここに置いて、敵が別の近接経路を取った場合も対応できません。そこで、「連携」です。
 建物(A)の南側は、建物(A)以外の場所からは見えません。建物自体や周辺の林などが視線を遮断するためです。そこで、南側を撃てる最小限の兵を置きます。建物(A)の西正面や北側は、別の場所から撃てるように部隊を置きます。たとえば北側。これは、建物(B)の2階から見えるヘクスがあります。そこは建物(B)2階の中機関銃に担当させ、砲腔照準で狙いもつけます。地図盤中央の教会(C)西側にも部隊を置きます。建物(A)正面から北側に狙いをつけます。ここの部隊は、フランス軍が建物(A)を取れば、そのまま第2陣として建物(B)や教会(C)に向けて遅滞行動を取ります。万が一 敵が建物(B)を直接指向しても、この位置であれば建物(B)への近接経路を火制しつつ、(A)や(C)を守ることができます。

 移動が困難な砲は、まず中央の部隊に対空砲を置きました。旋回できるので、左右どちらも撃てるからです(画像中AA;Anti Aircraft)。対戦車砲(画像中AT;Anti Tank)は、(B)と(C)の後方としました。各建物共に、後方に回り込んで潰走路を断とうとする敵戦車を抑止し、かつ状況によっては人力移動でシフトするのが可能な場所です。建物(B)後方の対戦車砲は、建物(B)から教会(C)へと向かう敵を側面から撃てる場所でもあります。



 以上のような意図で配置し、対戦に臨みました。

3 対戦の経過
(1)建物(A)の喪失まで
 フランス軍は、南側と中央に歩兵を指向してきました。特に中央では、最初からスタックを作って道路を走ります。後で聞いたのですが、隠匿配置のドイツ軍の砲に撃たれててスタック全体に損害がおよぶリスクを負ってでも、指揮官をつけて移動させて距離すなわち時間を稼ぎたかったそうです。
 建物(B)に対する牽制に、北側の道路からR-35戦車2両が道路を走ってきました。これは、ハッチを開けていたので、ドイツ軍はこりを中機関銃で撃ってstunの結果を得ます。足止めしたのと、+1をつけたのが大きな戦果でした。

 ドイツ軍プレイヤーは、序盤の敵の移動を見て、建物(A)の配置ですこし失敗したと思いました。2階に上げておけば、石垣越しに敵が見えて、撃てなくても隠蔽を暴けたところがありました。

 フランス軍は中央と南側から、建物(A)を狙って進んできます。ドイツ軍の配置エリアにさしかかると、半個分隊が索敵をして砲を探し始めます。いないとわかると、B1-bis戦車を前に出します。

 こちらは、軽迫撃砲や軽機関銃の遠距離からの射撃で迎え撃ちます。特に、軽機の火線が、1火力のみですが複数ヘクスに残留火力を置けるので強力でした。フランス軍プレイヤーは慎重で、火線の手前で歩兵を止めていました。南側の部隊も、指揮官がいないためか混乱を恐れて射撃を避けるような動きを見せます。
 ドイツ軍は敵兵を留めていますが、その状態が維持できるわけではありません。建物(A)の正面や中央の軽機関銃分隊に対して、B1-bis戦車がこれを撃てる位置で停止し、砲撃を始めます。前進射撃(AFPh)ではあたらないものの、照準マーカーがつきます。こうなると、ドイツ軍はその場所を維持できません。留まるのはリスクが大きすぎます。命中弾が出る前に、放棄して後退します。
 3ターン目には、慎重なフランス兵も、戦車の遮蔽を盾に建物(A)に接触してきます。ドイツ軍は、これ以上は維持できないと考え、この建物を放棄しました。

 相互の連携を考えた慎重な臨機射撃の結果、敵の中機関銃分隊を混乱させました。相手が、スタックを崩して1ユニットづつ進んできた際、先頭の分隊を通して、二番手の火器を持つ方を狙ったのです。長距離の射撃で2火力マイナス2でしたが、効きました。フランス軍は中機を拾う余裕もなく放棄しっぱなしだったので、大きな戦果でした。


↑  3ターン目のフランス軍移動フェイズ(MPh)終了時。建物(A)前面にフランス兵が肉薄しています。

(2)盤面中央を巡る戦い
 南側から建物(A)へのアプローチに呼応するように、フランス軍の中央部隊は独軍中央と接触します。タイミングを合わせて、北側から進んできたR-35戦車2両が、建物(B)をよぎるようにして向きを変えて独軍中央へと向かいます。まさに37ミリ対戦車砲の砲腔照準区域でした。高いROFで複数回射撃して、1両を破壊します。もう1両は、ちょうど林の陰で対戦車砲からは見えません。
 側面からの脅威をいなしたドイツ軍でしたが、危機は正面からやって来ます。相手が士気チェックで1ゾロを振って戦渦となり、敵1個分隊が狂暴化したのです。この分隊は大火力の臨機射撃をものともせず、対空砲のある区域に突っ込んできました。砲が露見し、さらに無力化されます。不利な白兵戦でやられるよりはと、操作班を自発的混乱させて逃したのです。

 南側でも、建物(A)から逃れた歩兵が敵の追撃を受けます。仏軍プレイヤーは、B-1bis戦車を単独行動させ1両を先行させ、逃げるドイツ兵の潰走路を断ってきました。独軍プレイヤーは、部隊を教会(C)までなんとか脱出させようとしましたが、たどり着けたのは指揮官1人でした。残りは、途中で潰走不能となって除去されるか、脱出路を南へ変えて勝利条件建物にたどり着かないものの、フランス兵の前進を妨害しようとしました。

 この中盤、活性化したドイツ軍の狙撃手が、フランス軍の指揮官を捉えます。分隊といる9-2指揮官か、単独でいる8-0指揮官のいる区域かを選べるタイミングだったのです。しばらく悩んだのですが、少ない指揮官を確実に除去でいるという意味で8-0指揮官を選びました。


↑ 5ターンの開始時。焦点は教会(C)に移りつつあります。恐れていた仏軍軽迫撃砲は、故障して放棄されています。

(3)教会(C)を巡る最後の戦い
 戦いの最後に向けて、僕は教会(C)に兵を集中させようと試みます。仏軍の次の狙いは建物(B)でないことは、この時点ではあきらかでした。
 仏軍プレイヤーもそれをわかっていて、ドイツ兵のシフトを止めようとしてきます。教会への経路は互いの機関銃や戦車砲、対戦車砲の火制下にあり、激しい銃火の応酬が続きます。


↑ 5ターンフランス軍移動フェイズ(MPh)終了時。右翼からの火線や臨機射撃で、フランス兵の教会(C)への接近を食い止めていますが、狂暴兵が出てしまいました。

 フランス軍は、中央から弾痕・建物経由で教会(C)前面の墓場に迫ります。フランス軍に再び狂暴兵が発生し、ドイツ軍の1個分隊が、墓地で白兵戦に踏み込まれるます。実は兵が足りず、このタイミングで教会(C)近くにいるドイツ兵は、この白兵戦に拘束された分隊のみでした。フランス軍プレイヤーとしては、追い込みをかけるチャンスでした。ところが、B-1bis戦車が2両とも単独移動の試みに失敗し、機会を逸します。その間に、対戦車砲の操作班が砲を棄てて教会2階(高度レベル1)の尖塔に駆け込み、最低限の防備を固めます。

 フランス軍にさらにもう1個狂暴兵が誕生し教会(C)に突入します。地上階で、ドイツ軍の8-0指揮官と白兵戦になりますが、この指揮官が数回の白兵戦を持ち堪えます。最後には除去されましたが、時間を稼いでくれました。

 フランス軍のB-1bis戦車は、1両が始動を試みた際に走行不能となります。車体装備の75ミリ砲を教会(C)を撃てない向きだったため、火力を大きく欠きました。もう1両は、教会(C)後方に回り込みました。

 両軍は兵を教会(C)周辺に集め始めます。ドイツ軍の対戦車砲も、人力移動で1ヘクス前に出て残りのR-35戦車を破壊した後、操作班のみが教会(C)をめざしました。教会の2階への突入を狙うフランス兵と、1階の奪回を狙うドイツ兵との間で隣接からの射撃の応酬が続きます。尖塔の操作班は、包囲されつつも敵の射撃に釘付けで耐え、ゲーム終了まで統制状態を保ちました。

 こうして、建物(B)と教会(C)を保持したドイツ軍の勝利となりました。


↑ 最終ターン直前の教会(C)の様子。

4 対戦を終えて
 敵の狂暴兵で対空砲が無力化されたり、教会(C)に踏み込まれたりで慌てたシーンも多かったです。しかし、逆に狙撃で敵の指揮官を消したり、こちらの指揮官が教会(C)1階で白兵戦で持ち堪えたりで時間を稼げて、勝ちました。
 特に大きかったのが狙撃です。攻撃の過程で、フランス軍はあちこちに混乱した兵を残していました。敵の指揮官が生きていれば、時間がかかったでしょうが、これらの兵を回復させて再度攻勢に加えていたでしょう。この再編成がなかったため、相手は最後の攻撃に決定力を欠いたと思います。感想戦でも、前述の理由により8-0指揮官を確実に狙撃手の目標にされたのが痛かったと、対戦相手が述べていました。

5 参考資料
一ノ瀬俊也『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』講談社現代新書
 大戦中の米陸軍の部内用雑誌から見た日本軍の姿を描いています。興味深い。。

"Stalingrad and the Evolution of Soviet Urban Warfare"(The Journal of Slavic Military Studies Volume 22, Issue 2, 2009 )
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